Dual PentiumII Over 1GHzマシンの製作
since 1999/5/1 by h.godai

1.製作の動機
2. 製作にあたっての問題点
3. 機材の購入
4. 製作の準備
5. マザーボードの改造開始!
6. 動作テスト&結果
7. Dual 500MHzマシンのその後 (99/5/15)
8. I/O電圧アップで515MHzx2を安定化(99/5/16)


1. 製作の動機

6.5.2コアのPentiumII/333が クロックアップ耐性が高いと言う情報を、 とあるHPで目にしました。 サハロフのページ で価格を調べてみたところ、約1.8万でしたのでこれは買いかなと思い、 さっそく秋葉で別々のロットを2個購入してきました。
購入した2つのPentiumIIは、 SL2WY(99/03)と、 SL2TV(99/01)です。
Abit-BH6のマザーに刺してクロックアップ耐性をしらべてみたところ、SL2WYの方は2.0Vで515MHz常用OK,SL2TVの方は、2.2Vで515MHz常用OKでした。 SL2WYは560MHzでもOSはなんとか起動しますが、ベンチは全く通りませんでした。 「まぁこれぐらいなら中あたりかな」と、とりあえず大満足です。

さて、Over500MHzの常用が可能なCPUが2個あると、Dualにしたくなるのが人情ってものです。 Dual PentiumIIのマザーも安くなってきましたし、 例のHP にも製作記事が載っていました。そこで、私も勢いに任せて Dualマシンを製作してみることにしました。


2. 製作にあたっての問題点

私にとって、Dual CPUマシンの製作は初体験です。オーバークロックマシン なので、Singleでは500MHzで動作してもDualで動作する保証はまったくありません。 おそらく、 コア電圧を上げる事は必須と思われます。 しかし、現時点(99/4/1)でコア電圧を可変できるDualのマザーボードを見つける事ができませんでした。 S.E.C.カートリッジの端子をマスク処理すれば設定電圧を変えられますが、 どうもコネクタに物を噛ませるのは精神衛生上よくありません。 CPUのコネクタが緩くなってしまって接触不良になってしまうのではないかという思いからです。
そこで、マザーボード上のDC-DCコンバータICの足に細工して、 強制的に電圧変更できる改造をマザーボードに施す決意をしました。


3. 機材の購入

さて、とりあえず製作をする決意ができたところで、虎の子の10万円を握り締めて 友人 と秋葉に出かけました。
10万の内訳は、ケースが3〜4万、マザーボードが2〜2.5万、 ついでにSDRAM/128MBを買おうと思い、それが約2万となります。
まず、パーツ屋で正論理の 16進ロータリースイッチ を2個購入しました。

HDDのLEDが3個付いている 次にケースですが、Dualともなると300Wクラスが欲しくなるのが人情ですので、 あれこれ迷いましたが、最終的にWinDy製の少々バブリーな総アルミケースか、 FreeWayにOEM供給している謎の中国製のケースの二者拓一になり、 値段の安さで中国製のケースに決定しました。このケースはデザインは今一つですが、 ファンが2個付いていてしかも入口はフィルター付きなのと、 HDDのLEDが3個付いている所が気に入っています。

マザーボードは、EPoXの KP6-BS と、Soltekの SL-68A と、TEKRAMの P6B40D-A5 が候補にあがりました。値段やスペックはほぼ横並びで、 SL-68AはDual動作が可能になるSoket370のゲタが付いていました。(その分単価が少し高い)
TEKRAMは、 例のHP に製作記事が掲載されていたので、同じマザーじゃつまらないと思い、 KP6-BSかSL-68Aに絞りこみましたが、 最終的にDC-DCコンバーターのICの加工がやりやすそうなSL-68Aに決定しました。

SL-68Aは、コア電圧の設定こそ出来ませんが、 FSBも66,75,83,100,103,112,133と変更可能で、 まずまずのマザーボードだと思います。 3.3VのI/O電圧のレギュレーターはパターンのみで搭載しておらず、ATX電源から直のようです。 少し残念なのが、ハードウエアモニターがWin95/98用しか添付されておらず、 NT4.0で動作するものがありませんでした。DualマザーでWindows98用のドライバーのみとは、 お粗末な話です。

SDRAMは、133MHz/CL=2のやつを ツクモ電気 で購入しました。 それと、すこしでも放熱を良くするため、 アルファ製 のCPUクーラーを、店員の態度があまり良くない事で有名な 某ショップ で購入しました。

その他のパーツは家にある ガラクタを組み合わせてなんとかなるので、 胸を踊らせながら帰路につきました。


4. 製作の準備

まず、マザーボード等の動作チェックのため、ノーマルのまま組み立てて、 FSBは66MHzに設定し、CPU2個とグラフィックカードとSDRAMのみ装着して起動してみました。 CPUは2つとも認識され、BIOSは無事起動。さらにFSBを100MHzに設定してもBIOSは無事起動しました。 これはいけるかもと思いながら、 FirePort40とNT4.0をインストール済のHDDを装着して起動してみたところ、 見事にハングアップ。NTカーネルの青い画面が虚しくブラウン管に映し出されていました。

ここまでは予想していた通りと気をとり直し、コア電圧可変の改造に踏み切ることにしました。
SL-68Aの基板を眺めて、それらしいICを2つ確認。ともにHARRIS社製の HIP6004CBHIP6018BCBでした。 これらのICの足を調べるために、 AltaVistaで検索をかけたところ、 2つとも一発で捜し出す事ができました。

DC-DCコンバーターの足がわかったらあとはハンダ細工のみです。2.0V以下は不要なので、 VID4はオープンにし、VID0〜VID3を 16進ロータリースイッチ に接続します。(ロータリースイッチのコモンはGNDに接続) このとき、正論理のロータリースイッチを使うと、スイッチの示す数字が0.1V単位で +2.0Vされた電圧になります。(Ex. 1なら2.1V, 8なら2.8V)ただし、 0はIntelの規格では"No CPU"と定義されているので、使わない方が無難でしょう。 (この石は2.0V出るようです) 詳しい設定は、 こちらの設定一覧表を参照してください。

その他に必要な材料として、なるべく細くて単芯の電線と、熱収縮チューブを用意しておきます。 道具はハンダゴテとピンセット、精密ドライバー、ドライヤー、 瞬間接着材(orエポキシ系があればGOOD)、細めのハンダといったところでしょうか。


HARISS社製のDC-DCコンバーターの端子図


5. マザーボードの改造開始!

改造というとなにか悪い事をしているような気がしますが、 これは改良ですから臆する事はありません。 当然ではありますが、メーカーの保証も受けられなくなりますし、 一発で御陀仏なんてことも良くあります。壊したらまた買えば良い という気持で、気軽にやりましょう。万一、マザーボードを壊してしまったり、 半田ゴテで全身大やけどを負ってしまったりしても、それはドジな貴方が悪い のであって、けっしてこの記事を書いた私を怨まない様にお願いします。

改造作業の手順は、ひとそれぞれですし、 かならずこうしなければならないという事ではありません。 ここでは私の行った手順を紹介しますので、参考程度に留めてください。

まず最初に、ロータリースイッチの足に適当な長さのコードをハンダ付けしておきます。 端子部は、右の写真のように、熱収縮チューブを使って、金属部分が露出しないようにしておきます。 コードは色分けしておくと便利です。(ex.茶,赤,橙,黄の順)


つぎに、DC-DCコンバーターの足を浮かせます。これがいちばん大変な作業になります。 ピンセットかマイナスのいちばん細い精密ドライバーの先をICの足の下に入れ、 上方向に力をかけならがICの足にハンダゴテを当てます。 ハンダが熔けた瞬間に僅かな手応えがありますから、すぐに力を緩めます。 ここで力を入れすぎるとICの足が大きく曲がってしまい、 あとでとりかえしのつかない事になりかねません。いちばん慎重を要する作業です。

うまく足が浮いたら、ピンセットで足を伸ばしながら水平に持ち上げます。 このとき、くれぐれもICの根本から足を曲げない様に注意してください。 根本から足が折れてしまったら、とりかえしのつかない事になります。 おそらく、秋葉を探し回って同じICを探すか、 ヤスリでパッケージを削って無理矢理ハンダ付けを行うという荒技にでるしかありません。 運良くオープンでも構わない端子ならば結線しなくても使えますが、 それではあまりにしょぼい改造になってしまいます。

足が伸びたら先ほどのロータリースイッチのコードをハンダ付けするのですが、 コードを付けた後はさらにICの足が折れる危険性が増します。 そこで、コードをICの上に瞬間接着材で固定してしまいます。 こうすれば、少々コードを引っ張っても足が折れる心配がありません。 そのため、コードの先端とICの足の先端を同じ方向にしてハンダ付けします。

まだ安心はできません。コードの先を少し下におせば、 基板のパターンに接触してしまいます。 そこで、熱収縮チューブをコードとICの先端から突っ込み、 ドライヤーを当てて固定します。 これで少々動いてもパターンや隣の端子に接触する心配がなくなります。


ロータリースイッチのコモン端子からでているコードを適当なGND端子にハンダ付けすれば、 配線は完了です。 私はそれらしいダイオードのマイナス側にハンダ付けしました。 (とうぜんテスター当てて調べましたが)

上の写真は、これらの処理を追えた所です。手もとに細い単芯のコードが無かったので、 2mmのより線のコードで行いました。より線だとハンダ付けがきついですから、 単芯のコードを使う事をおすすめします。

Dualマザーですから、DC-DCコンバータも2つあります。同じ作業をもう一つのICにも施して、 ロータリースイッチを適当な所に瞬間接着材で固定してできあがりです。 ヒートシンクの下に固定してしまうようなまぬけな方はいないとは思いますが、 いちおう書いておきます。


改造が終ったSL-68A


6. 動作テスト&結果

改造が終ったらいよいよテストです。まず、CPUを刺さないで電源を入れ、 DC-DCコンバーターICの VSEN の端子の電圧をテスターで調べます。 ひととおり設定どおりの電圧になっていればOKでしょう。
ちなみに、私は 年代物のテスター しか手もとになかったため、 いきなりCPUを刺して起動し、BIOSの画面で電圧を確認しましたが、 良い子のみなさんは真似をしないようにお願いします。 わたしはこの性格が故に、数多くの半導体をあの世に送り込んできました。

電圧を共に2.2Vに設定し、NT4.0をブートしました。ところがNTがMultiProcessorKernel になってくれません。気の短い私はNT4.0をインストールし直しました。 こんどはきちんとNTも認識してくれて、無事起動しました。 とにかくCPUに負荷をかけてみようと、SuperπとWinTune97, Dhrystoneベンチマークを一晩中回してみましたが、今度は見事にクリアしてくれました。 感動のDual PentiumII/500Mhz マシンの完成です。 ヒートシンクの温度も二つとも30度前後でした。 アルファ製 のヒートシンクが所狭しと頑張っています。


所狭しと頑張るアルファ製のヒートシンク


7. Dual 500MHzマシンのその後 (99/5/15)

500MHz Dualマシンを稼働させてから約2週間たちました。 トラブルもなく、毎日仕事に活用しています。
CPUのコア電圧はともに2.2V, FSB100MHz x 5倍速 = 500MHz x2 で運用しております。 CPUの温度は、ベンチマーク時に2つとも35〜36度に保たれており、安定しています。

SL-68Aは、添付されている温度監視ソフトがWindows95/98用のみで、 NT4.0用のものは待てど暮らせど Soltekのホームページにお目見えしません。 そんなときに、 とあるHP のBBSでフリーのマザーボードモニタのソフトがある事を知りました。 MotherBoardMonitor というソフトで、ほとんどの環境監視ICに対応しており、秀逸です。 さっそくわたしも愛用しています。
SL-68Aで使用する際の注意点は、温度センサーのNo.1は使われていないようで、 No.2がCPU-1, No.3がCPU-2になります。そのようにプロパティの設定をすればOKです。


MotherBoardMonitor
では、Dualになって良かった点と悪かった点をあげてみると、

ざっとこんな感じですが、総合してたいへん満足しております。 私はWindows98はほとんど使わないので、Dualにしてとても良かったと思っております。


8. I/O電圧アップで515MHzx2を安定化(99/5/16)

500MHzでは非常に安定して動作しているのですが、515MHzにすると不安定になってしまいます。 つまり+3%のマージンすらない状態で動いているという事で、それが不安材料でした。

そこで、I/O電圧のアップをすることにしました。 これで、チップセットとL2キャッシュにがはいるので、 オーバークロック耐性が改善される可能性があります。 とあるHPの常連さんにも、 効果があったという報告を頂きました。

さて、I/O電圧の可変にはいくつか方法がありますが、もっとも簡単なのは、 電源の内部にある調整用の半固定抵抗を回して電圧を上げる方法です。 Seventeam製の電源等には調整用の半固定抵抗があることが知られていますが、 残念ながらFreeWay製の電源とコンパチと思われる300W電源をばらしてみたところ、 3.3Vの調整はできませんでした。(5Vの調整用半固定はありました)

次に簡単な方法として、リモートセンシング線に細工をする方法です。これは、 電圧を監視するための線で、ATXの電源コネクタ部の電圧をフィードバッグするためのものです。 幸いなことに、この電源にもそれらしい 細い3.3V電源コードがATXコネクタの太い線と同じ場所から出ていました。
そこで、とりあえず 0Ωから30Ωぐらいまで可変可能な抵抗のモジュールを作成し、 リモートセンシング線に直列に入れてみる事にしました。
ところが、抵抗値をいろいろ変えても一向に電圧が変わりません。 頭に来てオーディオ用の100KΩのボリュウムまで持ち出して試して見ましたが、 電圧はピクリとも動きません。そして、センシング線を断線しても変わらず… どうやらこの電源では使われていない様です。

仕方が無いので、別のマシン用の Seventeam製の電源と取り換えることにしました。 こちらは250Wですが、おそらく大丈夫でしょう。 (何のために高価な300W電源付きのケースを買ったのやら...)
今度はうまくいきました。I/O電圧を3.5Vに設定して 515MHzで起動。 無事にベンチマークテスト等は通りました。 いまは丸一日 RC5の解析プログラムを回しています。

目的は達成されたとはいえ、300W電源がボツとなってしまって残念です。 電源の蓋を空けないと調整できないのも不便ですから、 この次は 5Vから3.3Vを生成するレギュレーターを製作してみることにします。


TO BE CONTINUED
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